楽しいクラスにしようとミニゲームなどを考えたり、冗談を言ったりしておどけてみせたり、そういう引き出しを持っている先生は得です。このタイプの先生には子どもたちは「おもしろい先生」「冗談が好きな先生」と命名します。
しかしこういう先生はびしっと止める力を人より多く持ち合わせなければなりません。笑い声とお喋りとおふざけを先生がビシッと止められなかったら、その隙間に入りタガが外れるように自由に柵を乗り越えてきます。どこまでふざけていられるか無意識に試してきます。特に高学年になるとそこらへんの「ずるさ」を身につけ「この先生はいける。怒れない先生だ」と下に見てなんどもおふざけを試してきます。そしてそれは学習にも現れます。
本読みの宿題は自分でやったことにしてサインをする。
答えを見てやったことにする。
思ってもないのに感動したと感想を書く。
これからは必ず気をつけたいと思いますと豪語する。
こんなことは誰でもやってるんだ。ずるさも持ってなきゃやってけないよ・・・とばかりぺろっと舌を出してやってるのです。
先のような楽しいことが好きな先生は特に、楽しい時間を止める力がなければ無政府状態となりルールはおざなりになり、「ちょっとぐらいいいじゃないよー」とどんどん勝手なことを喋って大笑いし先生をからかうようになります。この状態はあっという間にきて崩壊の道筋を辿ります。一方真面目な子は顔は笑っていますが不安になります。そう真面目でない子はグッと引っ張られて同じように先生をからかうようになります。6月には学習をしなくなり字が汚くなりノートは取らなくなります。先生が一喝してひどいお喋りがおさまったとしても、10分もすればまた同じようにひどいお喋り状態になってしまいます。
逆の場合もあります。重箱の隅をつつくように子どもたちのずるさと戦い、目を光らせ指摘し叱りつける先生には子ども達は心を開きません。6月にはまだ規律を保てても、第二の魔の月である11月には先生の欠点や失策を必要以上に重大視し徹底的に反抗する子が現れます。人間は失敗する生き物ですし先生が完全な人間でないことを知っているからです。このような先生には「先生はいつも権力で僕たちを抑え込もうとしている。そうはいくか」と反抗心を燃やします。
このような恐ろしい魔の6月、11月がくる前に、みんなで切り替えるサインを作っておくことをお勧めします。お互いに声を掛け合って静かに学習に戻るあるいはスタートするサインを決めておくのです。
ここで「切り替えボードとピカビー」という方法を紹介します。
「切り替えボード」とは、文言やイラストはなんでもいいのですがそれが黒板に貼られると私語をゼロにする命令が下ったサイン。そして次の3つを行い気持ちを切り替えると決めておきます。1日1回これを使います。
ルール
切り替えボードが黒板に貼られたら
姿勢を正す 口を閉じる 聞く姿勢をとる
すぐに静かになったらご褒美ポイントが入る。
用意したペットボトルにビー玉を入れます。これがピカビーです。毎日ピカビーを貯めて満杯になったらご褒美を設定します。
ピカビーご褒美
・近いうちお楽しみ会を開く
・宿題なしの1日を作る などなど
この方法はこわい先生ではなくても面白い先生でなくてもちゃんと規律をみんなで作っていけます。
ただしピカビーの多発は禁物です。またペットボトルが大きすぎるとなかなかたまらないので効果はありません。小さいサイズで行うとうまくいきます。
そして厳しく指導しなければならない事例が起きた時も「切り替えボードとピカビー」を使います。注意に対してうなづきがあり改善策発言があり謝罪があるなど注意を受け止められたらビー玉が入ります。くどくどお説教しなくても大概は効果があります。
これが「肯定的に規律を作る」1つの方法です。
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